名刀 彼の名は『こてつ』

ある日、僕は子猫を譲り受けた。猫の名は『こてつ』。爪と牙は血に飢えた日本刀のごとく鋭く、黒と茶の縞模様は悪魔を召喚する魔法陣のように規則正しい幾何学模様をなしている・・・!!!

雑記、日記、考察、評論、小説、猫、他。

ロボットは少女の世話をするためだけに作られた。
少女は生まれつき足が不自由だった。
歩くことができない少女の足として、ロボットはこの家に迎えられた。
この家に少女以外の住人はいなかった。ロボットは自分に燃料を入れてくれる少女のため、一生懸命彼女を運んだ。

ライ麦畑が風に揺れ、さざ波のような音を奏でた。
小さな砂利道で、ロボットは少女を肩に乗せて歩いた。ロボットは力持ちだったから、少女を左肩に担いでもまだ荷物をたくさん持てた。
街への買い出しは、ロボットにとって楽しい遠足だった。少女とお散歩もできるし、パンや牛乳を右手で運ぶことで自分が役に立っていることを実感できたからだ。

数年経ち、少女の背が伸びた。
それでも少女の足は治らなかった。ロボットは少女を左肩に乗せ続けた。
一日一回の燃料補給の時間より、少女がときどき見せるほほえみの方がロボットにとって嬉しいひとときになった。

さらに数十年が経ち、少女の腰は丸くなった。街の人たちは少女を「おばあちゃん」と呼ぶようになった。
ロボットは相変わらず、年老いた少女を乗せて歩き続けた。
「ずっと一緒にいてくれてありがとう」
少女はしわがれた声で、ロボットをねぎらった。
ロボットは声を出すことができなかった。
それでも少女はロボットの気持ちがわかるようで、冷たい左肩を優しく撫でてくれた。

ある日の朝。
いつもはロボットより先に目覚めるはずの少女が起きてこなかった。
不思議に思ったロボットは、少女のベッドをのぞいた。
少女はロボットと同じくらい冷たくなっていた。
しわしわになった肌と白髪の頭は、ぴくりとも動いてくれなかった。

ロボットはベッドの横に座り、少女をなでた。
ロボットは自分の燃料メーターを確認した。
あと数時間で、燃料が切れる。しかし、少女がいなければロボットは自分で補給ができなかった。
ロボットは、カーテンを開けた。
暖かい春の朝日がベッドに横たわる少女とロボットを包み込んだ。
しかし、少女は冷たいままだった。

ロボットは少女を抱えて、街に向かった。
それが自分の使命だった。
また少女にほめてほしかった。直感で、もうそれがかなわないこともわかっていた。

ライ麦畑が金色に輝いている。
もう何千往復もした砂利道は、いつもの朝と変わらず二人の進む道をあけていた。



いつか僕が、あなたと共に眠り、あなたと共に朝の日差しをあびる日がくるのなら。

僕はあなたよりも早く眠り、あなたよりも遅く目を覚ましたい。

僕の始まりと終わりを、あなたに見てほしいだけ。

 
さいごのさいごの話だけど。
あなたの心臓が止まるのだけは、僕が見届けてあげる。
だから。
僕よりあなたの方が早く眠るのは、最期の日だけね。
約束。

もし僕が先に死んだとしても、悲しまないでね。
僕の方があなたの100倍悲しいんだから。


悲しめるって、贅沢だね。

鼓膜に届く心臓の音は、一つだけ。
僕の音を聞くのは、あなたの係。
僕はあなたの音を聞く係ね。


それじゃ。
君の心臓が止まるまで。

2012.1.19より。

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いしますとは言いません。特にこのブログは誰かに見ていただくために書いているわけではなく、自分自身のための備忘録としてペンを走らせているだけなので。

さて、「向上心のないやつは馬鹿だ」と、夏目漱石の小説『こころ』の中でKは先生を罵っていましたが、僕もその言葉に一抹の共感を持っています。
この時代、この世の中に、大義などありません。
特に日本は平和で、何かのために命をかけることもなければ、人生をかけて成し遂げるべき使命も(おそらく大半の人間は)持っていません。
そんな無駄なプレッシャーを自身にかけなくても、生きていけます。
だからこそ、僕は思います。ごはんを食べて、排泄して、息を吸って吐いて、眠る、そんなうちの猫のような怠惰な生活をしていては、それこそうちの猫と大差ありません。したがって、僕は稚拙ながら『目標』を掲げて、それに立ち向かう姿勢を一応見せたいと思っています。
間違ってほしくないのは、僕は「向上心のないやつは馬鹿だ」とは言いません。幸福の定義は人それぞれ違って当たり前だし、うちの猫は怠惰な生活こそが正義だと謳って寝息を立てています。それは彼の人生観であり、哲学であり、信念でしょう。立派です。とても。
しょせん、人生の幸福度など自己満足の機会をどれだけ設けられたかによります。
僕の場合は、自らに何か枷をかけないと、やってられないたちなだけです。

さてさて、ということで、2018年の目標は以下の通り。

1.一人旅を3回する。
 2017年に『日本秘湯を守る会』会員の宿に一人旅で訪れたことがきっかけで、3年間で10件の秘湯宿泊スタンプカードをもらいました。1年間に3回ペースでこれを埋めます。

2.小説執筆
 2017年にも同じ目標を掲げていましたが、いろいろ言い訳じみたことを言って結局中途半端に終わりました。学生の頃に手を出した趣味でしたが、社会人になってからかれこれ10年ほど手をつけられていませんでした。新潟生活2年目に突入し、時間的余裕(あくまで金銭的余裕ではない)ができてきたので、今年こそは長編1作、短編2作を目標に執筆します。

3.○○の○○を○○する。
 口に出すのもはばかれるため、伏せておく。多くは語らない。こんな雑記ブログで語れるほど下賤な項目ではないのである。

4.仕事を頑張る。
 はい。それ以上でもそれ以下でもないです。仕事、やめないように頑張ります。

さて、年末年始の休みが今日で終わってしまうため、あえてこのタイミングで2018年の目標を羅列するに至りました。
2018年の大みそかまでに、この目標がどれだけ達成されているか……。
もし一つも達成できていなかったときは、保護猫慈善団体に3万円を寄付することをここに約束します。

以上。



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