名刀 彼の名は『こてつ』

ある日、僕は子猫を譲り受けた。猫の名は『こてつ』。爪と牙は血に飢えた日本刀のごとく鋭く、黒と茶の縞模様は悪魔を召喚する魔法陣のように規則正しい幾何学模様をなしている・・・!!!

ある日、僕は子猫を譲り受けた。猫の名は『こてつ』。爪と牙は血に飢えた日本刀のごとく鋭く、黒と茶の縞模様は悪魔を召喚する魔法陣のように規則正しい幾何学模様をなしている・・・!!!

少女は自らの命が残り少ないことを知っていた。
少女は命の光を可視できた。そして少女はその光をすくいあげ、別の生き物に分け与えることができた。

真冬の夜だった。夕方に振った牡丹雪が空気を洗い、澄んだ冷気が空を流れていた。
空っ風は雲を東へ運び、満天の星空がプラネタリウムのように少女と街を包んでいた。

街の明かりは点々と広がる。少女は薄着で、震えながら歩いていた。
目的地などなかった。胸ポケットにはビスケットが2枚。最後の食料だった。

雪で白くなった街路は、等間隔で林立するランプ型の街灯で照らされている。
レンガの道の端っこで、少女の足が止まった。
段ボールには子猫が2匹、横たわっていた。一匹は真っ黒で、もう一匹は白黒のまだら模様だった。
少女は膝を抱いてしゃがんだ。「死んでいるの」と問いかけた。
猫から返事は返ってこなかった。

少女は、ふと自分自身の生い立ちを思い出していた。
母親からは薄着の服しか与えられず、誕生日であった今日この日においても、プレゼントはビスケット2枚だけだった。少女は自分の父親が誰か知らない。知らなくてもよいと考えるようにすらなっていた。

少女は、人差し指で優しく真っ黒猫の頭を撫でた。驚くほど冷たかった。同時に、自分がまだ暖かさをもっていることに気づいた。

少女は胸ポケットからビスケットを2枚取り出した。ビスケットは、不思議な光を放っていた。それは紛れもなく、少女の命の光そのものだった。
ビスケットを一口サイズに砕き、子猫たちの口にくいっと押し込んだ。
子猫は二度目の産声をあげた。真っ黒と白黒は少女を一瞥し、元気に街の明るい方へ消えていった。

少女はそれを見送り、2枚のビスケット分しか残っていなかった命の光の僅か残りを、真冬の夜空へ溶かして消えた。
後悔はなく、むしろ清々しい顔で少女は力なく横たわる。粉雪が、少女につもっていくのを、ランプ型の街灯はただスポットライトのように照らし続けたのだった。

命をもらった真っ黒と白黒は、ビスケットの甘味と知らない誰かの優しさを決して忘れることなく、どこまでも駆けていった。どこまでも。彼らの足を止める権利は誰にもない。

良い国つくろう鎌倉幕府。良い国つくろうキャバクラ幕府。

いにしえの文献や建物、調度品や言い伝えを保存する重要性は、誰もが認識している。
忌まわしい歴史も、尊い歴史も、どちらも等しく残される。世界は無条件で、歴史を残そうとするものだ。

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僕のような歴史上の事件と無関係の凡人にとっては、真に歴史として保存されるべきは教科書にあるような事柄ではなく、我が猫こてつの成長記くらいのものである。

昔々の出来事は、万人が必死に保存しようとするが、僕の周りの出来事24時間は誰も積極的に保存しようとなんてしてくれないので、自分でこうやって記す。記した手紙をビンに入れて、インターネットの海へ流す。するとこうやって、誰かの目にふれることになる。我が盟友 こてつ君の生きざまが。

ということで、ビンも手紙もたくさんあるので、飽きるまで僕はこの投稿を続けていくつもりだ。
僕の周りの歴史を保存するために。

僕は夏が好きである。
よく友人に笑われるのだが、夏のあの、物語が始まりそうな空気がなんとも好きなのである。

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夏はいい。
早朝は朝顔が黎明を浴びて必死に伸びていて、ラジオ体操に駆ける子供たちが見える。
昼は冷やし中華と麦茶で夏の味覚を堪能する。麦茶のコップについた水滴をはらって、
やっと出かける。
夕方はひぐらしの大合唱が赤い空に音符を泳がせる。背の高い林の真ん中にある神社に座ると、木陰の涼しさが心地よい。
夜は夏祭りが開催されている商店街へ浴衣姿が行列をなす。りんご飴だけでも買おうかな、なんて思って、こちらはジャージとティーシャツで出かける。虫よけスプレー、忘れずに。

今、冬ですけどね。
僕は夏が好きなんです!
写真はうちの飼い猫です。名前はこてつ君、初夏に拾われた0円猫です。
 

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