名刀 彼の名は『こてつ』

ある日、僕は子猫を譲り受けた。猫の名は『こてつ』。爪と牙は血に飢えた日本刀のごとく鋭く、黒と茶の縞模様は悪魔を召喚する魔法陣のように規則正しい幾何学模様をなしている・・・!!!

ある日、僕は子猫を譲り受けた。猫の名は『こてつ』。爪と牙は血に飢えた日本刀のごとく鋭く、黒と茶の縞模様は悪魔を召喚する魔法陣のように規則正しい幾何学模様をなしている・・・!!!

僕は温泉をこよなく愛する温泉マイスターだ。
写真は、熊本県の黒川温泉郷。

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今まで制覇した温泉は、ざっと以下の通り。
新潟県:瀬浪温泉、月岡温泉、赤岡温泉
石川県:加賀温泉
山口県:油谷温泉
熊本県:扇温泉、黒川温泉
大分県:別府温泉、湯布院

本当は、小さいころに群馬県の草津温泉や伊香保温泉なども行ったのだが、記憶にさっぱり残っていないのでノーカウントとする。

温泉は最高である。あの山奥の村から湯煙がたち、硫黄の匂いが湿気とともに鼻腔をくすぐると、ああ温泉郷に来たんだなと実感して嬉しくなる。
地球から染み出た養分がお湯に溶け、温泉として僕らの体を優しく包む。今の季節なんて、ちらつく雪を見ながら露天風呂に浸かれる。最高である。
「風呂は心の洗濯よ」と名言を残したアニメキャラがいたが、温泉は心にも体にも染み渡り、すべてを綺麗に温めてくれる。
人生に疲れたら、騙されたと思って遠方の温泉に浸かってみてほしい。自分のことを誰も知らない温泉街のお湯に浸かるんだ。
そうすれば、もっと死にたくなるだろう。

現実逃避の手段は人それぞれであり、酒だったり、たばこだったり、ギャンブルだったり。
僕の場合は、読書や珈琲や楽器演奏・・・、そしてオンラインゲームである。

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とりあえず姉がきっかけで始めたFF14に入り浸っている。
顔も素性もわからないプレイヤー同士で遊ぶことに奇妙な楽しみがある。
今までの人生のほとんどが独りぼっちだった僕にとっては、目的もなく誰かと時間をともにするネットゲームは絶妙な居心地の良さがあった。

 ということで、猫の成長記の中にFF14でのスクリーンショットが登場する。
しかし、僕は別に写真やゲームのスクリーンショットを撮ることが好きなわけではなく、文章を書くことがストレスは発散になっているので、どうしても綺麗なスクリーンショットや猫のかわいい写真の下に、この駄文が付きまとうのであしからず。

少女は自らの命が残り少ないことを知っていた。
少女は命の光を可視できた。そして少女はその光をすくいあげ、別の生き物に分け与えることができた。

真冬の夜だった。夕方に振った牡丹雪が空気を洗い、澄んだ冷気が空を流れていた。
空っ風は雲を東へ運び、満天の星空がプラネタリウムのように少女と街を包んでいた。

街の明かりは点々と広がる。少女は薄着で、震えながら歩いていた。
目的地などなかった。胸ポケットにはビスケットが2枚。最後の食料だった。

雪で白くなった街路は、等間隔で林立するランプ型の街灯で照らされている。
レンガの道の端っこで、少女の足が止まった。
段ボールには子猫が2匹、横たわっていた。一匹は真っ黒で、もう一匹は白黒のまだら模様だった。
少女は膝を抱いてしゃがんだ。「死んでいるの」と問いかけた。
猫から返事は返ってこなかった。

少女は、ふと自分自身の生い立ちを思い出していた。
母親からは薄着の服しか与えられず、誕生日であった今日この日においても、プレゼントはビスケット2枚だけだった。少女は自分の父親が誰か知らない。知らなくてもよいと考えるようにすらなっていた。

少女は、人差し指で優しく真っ黒猫の頭を撫でた。驚くほど冷たかった。同時に、自分がまだ暖かさをもっていることに気づいた。

少女は胸ポケットからビスケットを2枚取り出した。ビスケットは、不思議な光を放っていた。それは紛れもなく、少女の命の光そのものだった。
ビスケットを一口サイズに砕き、子猫たちの口にくいっと押し込んだ。
子猫は二度目の産声をあげた。真っ黒と白黒は少女を一瞥し、元気に街の明るい方へ消えていった。

少女はそれを見送り、2枚のビスケット分しか残っていなかった命の光の僅か残りを、真冬の夜空へ溶かして消えた。
後悔はなく、むしろ清々しい顔で少女は力なく横たわる。粉雪が、少女につもっていくのを、ランプ型の街灯はただスポットライトのように照らし続けたのだった。

命をもらった真っ黒と白黒は、ビスケットの甘味と知らない誰かの優しさを決して忘れることなく、どこまでも駆けていった。どこまでも。彼らの足を止める権利は誰にもない。

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