日々、目標を立てて日常生活を送っている人は、この世にどれだけいるのだろう。

以前までの僕は、とても貧相で暗い目標を自らに架していた。

『とにかく一日、命を続けること』

僕は昨年まで、いろいろな事情があって体力的にも精神的にもぎりぎりの生活を送っていた。
というか、ただ絶望の中を手探りで生きている状態だった。

俗にいう20代は思いっきり遊び倒しなさいという元気いっぱいの一般論とは似ても似つかない地獄の生活だった。とにかく、一日一日、心と体を人間のそれに保つのがやっとだった。
こんな世界、いつか自ら命を絶って抜け出してやろうと考えていた。
自殺の名所に何度も通ったり、精神科に通ったりしていた。
おそらく、世間体は最高に優秀だったと思う。
大学を卒業し、新卒の就職希望ランキングで毎年上位に入るとある大企業に就職し、日本中を駆け巡って修羅場をくぐりぬけてきた。それ以外のすべてをすり減らして、20代をただ仕事のためだけに費やした。
しかし、僕は天才でもなんでもなかった。
凡人がいくら無理して追いついても、人生は長距離マラソンで、すぐに息切れをしてひざをつく結果となった。

そんなとき、あるきっかけがあって僕は逃げることを知った。
逃げることは罪でも不幸でもなく、逃げずに戦い抜いて野垂れ死にすることの方が後悔することに気づいた。

それから僕は、持っているすべてのステータスを捨て去り、故郷に帰ってきた。
最初は罪悪感と劣等感にさいなまれた夜もあった。今まで積み重ねてきたものを、崩したことへの後悔もあったかもしれない。
しかし、苦労の経験値だけは僕の中にたしかにたまっていて、土壇場の踏ん張りがある程度できる体と心になっていることに気づいた。

今、やっと体力的にも時間的にも余裕ができた気がする。
今ここからの、これからの人生が大人の青春を味わえる時間なのだろうと解釈している。

やりたいことはそれなりにある。
会いたい人も、少ないがいる。
深呼吸してから進む大人の余裕も身につけた気がする。

そうそう。笑われるから誰にも言わないけど、今年度必ずやり遂げたいことがある。
やり遂げられたときに、近くにいる人にこそっと自慢してみようと思う。

負けないよ。もう昔の苦しんでいただけの僕じゃないもんね。